第1講 海水資源利用技術の現状と展望
●時 間10:30〜12:00
●演 題
●講 師 財団法人塩事業センター 海水総合研究所 所長 長谷川 正巳
●内 容
近年、食料、化石燃料、鉱物資源など、あらゆる資源が高騰し、我が国における資源確保の状況は厳しさを増している。このような状況はこれからも続くと思われ、低品位だとされてきた海水資源が注目されるようになった。
一方、海水を資源として利用する、このような発想は四方を海で囲まれた我が国ならではのものであり、我が国ならではの技術として、世界に先駆けた研究を推し進めることが、技術立国として我が国が生き残る道に繋がるのではないかと考える。
本セミナーでは、我が国の海水資源利用の現状と展望を述べる。
1.我が国における海水資源利用技術の現状
・意外に知らない食料自給率と水との関係
・海外にはない我が国独自の製塩技術
・これまでの希少元素回収技術開発と実用化の事績
2.海水資源利用技術への期待と展望
・淡水化および製塩から構成されるハイブリッド型海水資源利用技術への展開
・リチウム回収における我が国固有の膜分離技術の適用
・その他、海洋深層水、メタンハイドレート、好塩性微生物などの活用
(講師プロフィール)
1980年 日本専売公社に入社
イオン交換膜による海水濃縮技術、晶析技術の研究に従事
2005年 海水総合研究所 所長 現職
博士(工学)
<昼休憩12:00〜12:50>
第2講 海水含有ウラン及び有用希少資源の捕集技術開発
●時 間12:50〜13:50
●演 題
●講 師 株式会社環境浄化研究所 代表取締役社長 須郷 高信
●内 容
海水中には塩が大量に含有しているが、その3千万分の1以下の確率でウランやバナジウム等の有用希少資源が溶存している。これらの溶存濃度は極微量であるが、その総量は陸上埋蔵量の千倍以上と試算されている。有用希少資源の効率的捕集を目指して、自然海流と波力を利用した繊維状捕集材の合成技術の開発と実海域での捕集試験を行った。
捕集材の製造では放射線グラフト重合法と連続合成装置の開発により、大量製造技術を確立した捕集材の性能評価は青森県と沖縄県沖合での実海域捕集試験を行い、高純度のイエローケーキと
バナジウムの分離回収に成功した。
本セミナーでは、これらの試験結果とコスト概算について解説する。
1.海水ウラン捕集の意義
2.捕集材料の合成工程
3.実海域での捕集試験
4.海水ウランのコスト概算
(講師プロフィール)
1965年 日本原子力研究所入所、放射線化学の研究に従事
1986年 放射線を利用した長寿命電池膜の企業化に成功
1989年 高性能有害ガス吸着フィルタの企業化に成功
1999年 海水ウラン捕集実海域試験に成功
1999年 研究室長の現職で「環境浄化研究所」を設立
現在、新しい生活福祉と環境浄化材料の開発・普及活動に従事。
工学博士
研究紹介ネット:サイエンスチャンネル(http://sc-smn.jst.go.jp/)
@眠る海洋資源を開発する最新技術、A海は資源の宝庫
Bおもしろ科学の伝道師、C驚異の消臭技術 他
第3講 海水からのリチウムイオン回収技術の現状と課題
●時 間13:55〜14:55
●演 題
●講 師 独立行政法人産業技術総合研究所 評価部 次長 大井 健太
●内 容
海水中に含まれる成分の中で、エネルギー資源としてはリチウムが注目されている。リチウム資源は潤沢であるが、事業化が困難な資源も多く、また、生産会社が寡占状態にある課題もある。
リチウム電池、電気自動車など需要の大幅な伸びが予想されるが、将来の供給体制は必ずしも十分とは言えない。海水中には、リチウムが低濃度(0.17mg/L)であるが含まれており、資源のない我が国では貴重な国内資源といえる。このような低濃度溶液からの回収法としては吸着法が最も適当な方法である。
本セミナーでは、リチウム生産の現状を紹介するとともに、海水からのリチウム回収に向けての
技術開発の現状と今後の課題を紹介する。
1.リチウム資源と回収技術
2.リチウム選択吸着剤の開発
3.リチウムの吸着・脱着プロセス
4.海水からの採取システム
5.今後の課題
(講師プロフィール)
1976年 名古屋大学 大学院理学研究科 修士課程修了
1977年 四国工業技術研究所(現産総研四国センター)入所
現職
理学博士
専門 無機イオン交換体を中心とする無機材料化学、吸着分離工学、資源・環境化学
受賞 日本海水学会学術賞、日本イオン交換学会賞
第4講 海水からの塩等有価資源物質の分離回収技術の開発
●時 間15:05〜16:05
●演 題
●講 師 佐賀大学 総合分析実験センター 技術専門員 池田 進
●内 容
海洋資源である海洋エネルギー資源や海水資源の先導的利用科学技術の研究開発が佐賀大学で行われている。特に、海水の温度差を利用した発電による淡水化や水素,リチウムなど海水資源の回収については実証試験が進められている。
一方、大型の淡水化施設(福岡市)から大量に排出されている高濃度海水から有価資源物質(塩、ハロゲン、リチウム、金属、希少金属等)の分離・回収技術の開発や環境への負荷を低減させるための環境技術について取り組んでいる。
本セミナーでは、佐賀大学のこれらの取り組みについて紹介する。
1.海洋資源について
2.海水の有価資源物質について
3.海水の総合利用プロセス
4.従来の塩製造技術とその問題点
5.濃縮海水を使用した製塩法
6.塩の核形成について
7.晶析技術
8.にがりの有効利用
(講師プロフィール)
熊本工業大学工業化学科卒
佐賀大学 理工学部 工業化学科 文部技官
佐賀大学総合分析実験センター 機器分析部門 技術専門員
博士(工学)
第5講 海洋深層水の有効利用〜水産利用を中心に〜
●時 間16:10〜17:10
●演 題
●講 師 東京海洋大学 海洋科学部 海洋生物資源学科 准教授 藤田 大介
●内 容
海洋深層水は、太陽の光の届かない深海(概ね水深200m以深)の海水で、低水温・富栄養・清浄・水質安定という4大特性がある。そもそも海水は、無尽蔵(地球最大の水資源)に塩・ミネラルを含有し、再生・循環の水資源であるが、海洋深層水は、海洋の大部分を占める「海水の中の海水」といえる。現在日本では約20ヶ所で取水施設が稼動し、飲料水・食品・化粧品などの形で国民の生活に入り込み、「海水利用文化のルネッサンス」を迎えている。水産分野では、海洋深層水の4大特性をフルに活かせる唯一の分野で、直接混合・加温(熱交換)など様々な方法で魚介藻類の飼育に用いられているほか、輸送や利用加工に至るまで幅広く活用されている。
1.海洋深層水とは
2.海洋深層水の取水
3.海洋深層水利用の現状
4.生物飼育における海洋深層水の利用法
5.利用・取排水に伴う問題点
(講師プロフィール)
1986年 北海道大学 大学院水産学研究科 博士課程修了 水産学博士
富山県水産試験場 農林水産部 水産漁港課を経て
2003年〜 現職
編著書:「海洋深層水利用学」「磯焼け対策シリーズ第1〜3巻」ほか多数
17:00 終了