第1講 微細藻類の産業利用の可能性
<国際的な科学技術動向を踏まえた俯瞰とその課題>
●時 間10:00〜11:00
●講 師 北海道大学 人材育成本部
特任教授 鷲見 芳彦
●内 容
微細藻類(マイクロアルジェ;microalgae)は約30数億年前、地球環境創世記に最初に地球上(海洋)に出現した生物の1つである。葉緑素を持ち、光合成によって大気中の二酸化炭素を固定化し酸素を産生する。別名、植物プランクトンとも呼ばれ、現在、約10万種の多様な微細藻類が海水・淡水中に存在する。
この微細藻類の機能とその利用に、今注目が集まっている。第1に機能性食材をはじめとする医療・健康バイオ(レッドバイオ)領域での応用、第2に、飼料や環境浄化作用の農・水・環境バイオ(グリーンバイオ)の領域での応用、第3に、バイオ燃料をはじめとする工業バイオ(ホワイトバイオ)の領域への応用も進みつつある。
本セミナーでは、将来の人類のQOL(Quality
of Life)向上へ貢献し、かつ我々の抱えるいくつかの課題を解決しうる「微細藻類」にスポットを当て、これらの3つの領域におけるビジネスチャンスを考えると共に、その課題について言及する。
1.微細藻類とは
2.微細藻類が作り出す新しいビジネス領域
3.微細藻類の生み出す価値
4.微細藻類に関連する科学技術
5.国際動向
6.課題
講師プロフィール
1980年 大阪大学 大学院理学研究科 博士課程前期(修士)修了
1980年 帝人株式会社
ライフサイエンス・医薬医療の研究及び医薬企画・研究企画に携わる
1990年 東京大学医学部にて医学博士取得
2009年 北海道大学 人材育成本部 特任教授
文部科学省 科学技術政策研究所 客員研究官(兼任)
学会:再生医療学会 他
第2講 脂質産生微細藻類の探索・収集・保存
●時 間11:05〜12:05
●講 師 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 遺伝資源保存課
研究職員 関口 弘志
●内 容
近年、国内外を問わず微細藻類の応用利用へ向けた研究活動が盛んに行われている。その目的(ゴール)は藻類の光合成能力によるCO2固定だけでなく、代謝産物利用に重点が置かれており、特に脂質を産生する微細藻類は、エネルギー生産分野に於いて非常に注目を浴びているものと言える。その為に必要不可欠なのは、目的を達成しうる有用株を獲得することであり、我々もカルチャーコレクションとして有用株を提供するために探索・収集・保存活動を行っている。
本セミナーでは、我々の活動のうち、脂質産生微細藻類を提供するために行っている内容を紹介する。
1.NITE Biological Resource
Center (NBRC)について
・NBRCの活動
・NBRCが保有する微細藻類の特徴
2.昔話〜軽油産生微細藻類について
3.有用株の探索・収集について
・微細藻類における”有用藻類”とは
・“有用藻類”の探索
・新規収集のストラテジー
・新規収集の実際
・候補株から有用株への絞り込み
4.藻類応用利用に関して我々が出来ること、出来ないこと
・実用化までの道のり
・我々の本業〜カルチャーコレクション
・ユーザーの希望と我々の現実
<昼休憩12:05〜13:05>
第3講 藻類由来バイオ燃料の効率的分離技術の開発
-Botryococcus brauniiを例として
●時 間13:05〜14:05
●講 師 東京大学 大学院農学生命科学研究科 水圏天然物化学研究室
准教授 岡田 茂
●内 容
微細藻類の中には脂質を大量に蓄積するため、代替燃料としての利用が考えられているものが存在する。
しかし培養藻体から効率的に脂質を回収するには、藻種により工夫が必要な場合がある。
本セミナーでは、液状炭化水素を大量に生産し、細胞間マトリクスに蓄積するBotryococcus brauniiを中心に、微細藻類からの脂質の回収法に関する過去の研究例や最近の動向につき概説する。
1.微細藻類からの脂質回収の問題点
2.微細藻類Botryococcus brauniiとは
・Botryococcus brauniiはどのような生き物か
・Botryococcus brauniiの生産する炭化水素
3.Botryococcus brauniiからの炭化水素回収法
・過去の研究事例
・加熱処理による回収
・最近の動向
講師プロフィール
1987年 東京大学農学部水産学科卒業
1989年 東京大学大学院農学系研究科水産学専攻 修士課程修了
1990年 東京大学大学院農学系研究科水産学専攻 博士課程中退
同年 東京大学農学部 助手
1996年 東京大学大学院農学生命科学研究科 助手
(1997年〜1999年米国ケンタッキー大学 外国人客員研究員)
2004年 東京大学大学院農学生命科学研究科 助教授
2007年 東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授 現職
第4講 微細藻大量培養の現況と課題
●時 間14:10〜15:10
●講 師 マイクロアルジェコーポレーション株式会社 代表取締役 竹中 裕行
●内 容
周知のとおり、バイオ燃料をはじめとする微細藻類の工業利用が注目を集めている。微細藻類の工業利用における成否の鍵は、大量培養法の確立とその生産コストである。数種の微細藻については大量培養・生産が行われているが、これらは有用な生理作用が報告されており、それが付加価値として価格に反映し、生産コストをカバーしている。
弊社は、沖縄県宮古島市で数種の微細藻の大量培養を行っている。また、高知県室戸市でも、濃縮海洋深層水を利用した微細藻の大量培養試験を実施している。
本セミナーでは、微細藻の大量培養の現況と今後の工業利用を推進するために不可欠な生産コスト削減のための課題を弊社の経験・実績を紹介しながら考察したい。
1.微細藻類の工業利用の可能性
2.微細藻の大量培養の現況
3.微細藻の生産コスト削減のための課題
講師プロフィール
1985年 静岡薬科大学(現静岡県立大学)大学院博士課程後期修了 薬学博士
1993年 マイクロアルジェコーポレーション梶@代表取締役 現職
2006年−2007年 九州共立大学 准教授
その他活動
・日本ビタミン学会賛助会員代表者評議員(1996年−)
・マリンバイオテクノロジー学会評議員(1999年−)
・日本海藻協会理事(2008年−)
<休憩15:10〜15:25>
無料特別講演:
微細藻類コミュニティーの持つ生態系サービス機能の包括的理解を目指して
●時 間15:25〜16:15
●講 師 独立行政法人理化学研究所 基幹研究所 守屋バイオスフェア科学創成研究ユニット
ユニットリーダー 守屋 繁春
●内 容
水圏に棲息する微細藻類の多様性は我々が考えるよりも遙かに多様であり、その機能も非常に多岐にわたる。
しかし、これら多種多様な微生物間に存在する入り組んだ物質的な共生による複雑な関係性は、人類によるそれらの生態系サービスの利用を大きく阻んでいる。
本セミナーでは、そのような複雑な微生物生態系を分子レベルで包括的に理解し、それらの持つ機能を有効利用するために最近取り組んでいるマルチメタオミックス解析による新しい研究法について概説する。
微細藻類の持つ様々な機能
1.微細藻類の多様性
2.複雑な共生システムの存在とその解析における困難性
3.共生システムの重要性
4.マルチオミックス解析法のコンセプト
5.マイクロコズム「エコトロン」実験の紹介
6.将来の展望ー生態系サービスの包括的利用を目指してー
講師プロフィール
理学博士
理研工藤環境分子生物学研究室 専任研究員、
(独)科学技術振興機構バイオリサイクルプロジェクト
研究員などを経て、
現職(横浜市立大学大学院 客員研究員 兼務)。
16:30 終了